きっかけ
ミラノのデザイン事務所にいる頃、同僚のイタリア人に聞いてみたことがあった。
なんでイタリア人ってかっこよくて、セクシーなんだろうね?
そのイタリア人は自信満々にこう答えた。シャツを着ているからだ、と。
確かにイタリア人の多くはシャツを着ている。
ビジネスマンはもちろん、タクシーの運転手、新聞配達のおじさんや、屋台のピザ屋のおじさんまでシャツを着ている。
彼らのシャツはとてもかっこよくて、セクシーだ。
今思えば、10数年前にそのイタリア人から聞いた「シャツを着ているからだ」という極めてシンプルな一言から、僕のイタリア製シャツへの旅が始まっていたのだと思う。
情報収集
僕は、留学時代に知り合ったイタリア人や仕事を通じて出会った多くのイタリア人からどこの工場が優れているか情報収集を始めた。
僕が目を付けたのが、シャツの聖地ナポリと繊維工場が多いと言われているプーリア州だった。
挑戦
イタリアでのシャツ作りは想像以上に難航した。
イタリアは日本と違って、交通網が整っていない場所も多く、特にプーリア州への訪問は多くの時間と労力を費やした。
良いと思った工場に出会い、サンプリングを繰り返し、コストが合わずに断念したこともあった。
体から力が抜けるような脱力感もあったが、また新たに情報を集め、工場を訪問し、サンプリングを繰り返した。
気が付いたら、2年の歳月が流れていたが、僕は、ナポリのとあるサルトにたどり着くことができた。
出会い
このサルトの社長は工場ばかりが安い賃金で働いて、アパレルは不当に利益を得ているといきなり言い出した。
だって、俺が作ったこのシャツはイタリアのブランド店で250ユーロもするんだぜ。
あんたの国だったらいくらするんだ? 300ユーロ?
そんな馬鹿な話があるかと言った。
僕は彼と握手をして、僕たちなら120ユーロで販売出来ると言った。
僕は、それならたくさんシャツが売れて、あなたたち工場も、そして、僕たちのお客様もきっと満足していただけるはずだ、と言った。
僕たちは、会うたびにそんな話をして、一緒にマーケットを根底から変える約束を交わした。
完成
イタリア・ナポリ製の美しいシャツが完成した。
このシャツを着ると、やけに自分がかっこよくなったような気がしてくるから不思議だ。
ナポリでしか作ることが出来ないこのシャツには、様々なサルトのテクニックが施されている。
でも、美しく、セクシーなこのシャツに理屈はいらない。
着てみていただければ、すぐにお分りになるはずだ。
何より、周りの人から、カッコイイですね!どこのシャツですか?と、聞かれることだろう。(たぶん)
是非、一度お試しいただけたらと思う。