一枚のシャツから懐かしさやぬくもりを感じたことがあるだろうか?
生産性や効率性が求められる現代ではシャツも大量生産が求められる。
きれいにパッケージングされたシャツは世界中どこでも入手でき、 飽きたら新しいものに買い替える。
ファストファッションで身を包む人たちにとってこのサイクルは非常に速い。
「お気に入りの服を長く大切に着てほしい。」
そんな気持ちがこのシャツから伝わればと思う。

ポロ・カラーと呼ばれた ボタンダウンも今では欠かせない普段着となった。 芯地の入っていないソフトな風合いが心地よい。
ホームベース型のポケットがカジュアルな印象を与える。

世界的にめずらしい旧式のシャトル織機。
一日に20Mしか織れない古い機械が今、日本にあり、稼動していることの貴重さを感じた。
ゆっくり織られた生地にはふくらみがあり、ヴィンテージな風合いがある。
生地の耳(セルヴィッジ)は旧式シャトル織機で織ることへのこだわりを示す。

セルヴィッジは前立ての裏側に配した。
着る人にしか分からないことだが、素朴な生地の耳は、この素材ならでは。
スプリットヨークは旧来のビスポークテーラーの名残。
腕の動きに合わせて生地が伸びるので着心地も良い。

セルヴィッジは前立て裏に控えめに残し、昔ながらのボタンダウンを作った。
襟は芯なし、裾にはガゼット。
紳士服の丈は最近短くなってきているが、 このトレンドに逆行して着丈をあえて長くしている。
全ては“昔ながら”の素材に合わせた味付けとして。

ヴィンテージを意識した巻き込みガゼット。
脇でシャツが割けないように補強する役割もある。