鎌倉シャツが糸から開発して実現した、『パルパープレミアム/PALPA PREMIUM』。
その糸から生まれた「イージーケア ドレスシャツ」。
昨年販売以降、その風合いとお手入れの気軽さから、鎌倉シャツの人気商品の一つに。

今回はパルパープレミアムの開発秘話とこだわりを、商品開発担当とバイイングディレクターが語ります!

哲兵 今回は鎌倉シャツの素材開発担当の佐野とバイイングディレクターの私、哲兵との対談をお届けします。
(※1)一緒に長く仕事をしてきましたけど、こういった形で対談をするのは初めてですね。

佐野 そうですね!なんか変な感じですが、楽しみです。(笑)

哲兵 さて、今回は鎌倉シャツが開発し、特許も取得した特別な糸である(※2)『パルパープレミアム』についてです。

佐野 哲兵さんもよくパルパーを着ていますよね。今日はどういったコーディネートなのですか?

哲兵 はい、最近はかなり気に入ってよく着ています。
今日のコーディネートですが、パルパーの生地でグラフチェックの(非売品※3)タブカラーに、「Holland & Sherry」のトラベラー生地を使ったスーツを合わせてみました。
パルパーはその特性上、シワになりにくいので、同じくシワになりにくいスーツなどと合わせると雰囲気が合うと思います。
時計は同じく探検(トラベラー)する時計である「エクスプローラー2」を合わせてみました。

佐野 着心地はどうですか?イタリアかぶれの哲兵さんの率直な意見が聞いてみたい。(笑)

哲兵 いや、この素材はすごいですよ。ドレスシャツは主にクリーニング派の僕ですがが、自宅洗濯でもクリーニング以上の仕上がりですからね!着心地はもちろんいいのですが、「鎌倉シャツでしか買えないイージーケア」ってのがいい!!
あと、かなりクリーニング代が節約になってる。(笑)

佐野 それは良かったです。開発者冥利に尽きるというものですよ。

哲兵 僕は着て喜んでいるだけですが、佐野さんは相当苦労していましたよね。
ユニチカさんとの共同開発だったのですが、なかなか製品化にならなかったのを覚えています。

佐野 そもそも(※2)『パルパープレミアム』は糸が特殊なので、生産がなかなか思い通りにいかずに苦労しました。まず糸を作るのが難しかったのと、糸がうまくできたと思って、織ってみたら欠点があったりと。結局、糸作りが完璧にできないと、織りあげて、縫製して、シャツにしてお客様に届けるクオリティにならないのです。

哲兵 生地ではなく、糸ってのがすごいですよね?

佐野 そうです。一般的には糸ではなくて、出来上がった生地に加工を施すのがイージーケアの一般的なやり方なのですが、鎌倉シャツでは特殊な糸を開発し、生地に加工を施すことなくイージーケアと(※4)高い速乾性を実現したのです。

哲兵 (※5)糸から開発とさらって言っていますけど、糸からの開発というのは他では絶対できないことですよね。なぜ糸から開発しようと思ったのですか?

佐野 鎌倉シャツは特別な会社です。他でやっている皆さんと同じ生地を使うわけにはいきません。生地で買うのはある意味そう難しいことではないですし、鎌倉シャツだけがやれることは何か?ということで3年かけて開発しました。
(※6)世界のどこにもない鎌倉シャツだけのオリジナルを作るのが僕の使命でもありますしね。

哲兵 生地に加工を施すだけのイージーケアは、それこそ(※7)イタリアの有力生地メーカーでもありますし、中国のビックカンパニーでもありますよね。

佐野 はい。生地を作ってから加工を施すのは悪くはないのですが、どうしても表地の風合いを殺してしまう場合が多いのです。
鎌倉シャツは長年天然繊維の風合いにこだわってきたので、生地の風合いを殺すことなく、「イージーケア」という非常に難易度の高い仕事に挑戦することにしました。

哲兵 それが『パルパープレミアム』なのですが、イージーケアなだけではなく、光沢や高級感がまた素晴らしいですよね。
このレベルの生地の風合いを持ちながら、イージーケアを持つ生地は(※8)イタリアにもないと思います。風合いの良さ、この美しい光沢や高級感はどのようにして作りあげたのですか?

佐野 『パルパープレミアム』はもちろん、通常の生地も大切なのは原綿です。原綿が良くないのものは、どんなに加工しても良い風合いの生地は作れません。

哲兵 確かに鎌倉シャツではどんな生地を作る場合においても良い原綿を使うところから始まります。

佐野 はい。(※9)鎌倉シャツの定番と呼ばれるベースクオリティにおいても、SUVIN GOLDや、SUPIMAなどを使っています。この部分はまたの機会にご紹介させていただくとして、パルパーにおいても原綿にこだわりました。パルパーはポリエステルのコアに綿を巻き付けることで生まれる糸なのですが、また難しいのが、良い原綿を使ったからといって良い糸ができるとは限らないところです。

哲兵 良い原綿を使うのは最低限の条件だけど、それだけではパルパーの糸は作ることができないということですか?

佐野 その通りです。通常の糸でも(※10)紡績するというのは非常に難しいことなのですが、パルパーの難しさは群を抜いています。

哲兵 なぜ難しいのでしょうか?

佐野 パルパーはコア(芯部分)の部分にポリエステルを使っているのですが、巻き付ける綿との相性があるのです。良い原綿を使うのですが、微妙にコアのポリエステルと合わないタイプの原綿がある。

哲兵 かなりマニアックな話になってきましたが、とにかくこの新しい素材『パルパープレミアム』を作るのは一筋縄ではいかないということですね。

佐野 そうです。また、ポリエステルの素材も様々なものがあり、クオリティを変えてしまうと、今まで相性が良かったはずの原綿と相性が悪くなり、生地に欠陥が出てしまう場合もあります。
そういった意味では、現在商品化されているパルパーのポリエステルと綿の相性は抜群だと思います。

哲兵 なるほど。パルパーの糸は、綿、ポリエステル、それぞれの繊維にこだわり、なおかつそれらの相性を生かすことで実現した「奇跡的の糸」と言うことができそうですね?

佐野 はい。この特殊糸の開発から(※11)特許取得までご協力いただいたユニチカの皆さんには本当に感謝しています。ユニチカの皆さんのご協力なくしては、鎌倉シャツのイージーケアはなかったので。

哲兵 繰り返しますが、まさに世界中で鎌倉シャツでしか買えない『パルパープレミアム』ですね。

佐野 まだご存知ない方もぜひお試しください!!

哲兵 それではまた!次回の生地対談VOL.2でお会いしましょう。

貞末 哲兵
バイイングディレクター
イタリアに魅了されて20年、多くの現地ファクトリーと仕事をしているイタリアかぶれ

佐野 貴宏
素材開発担当
鎌倉シャツ一筋20年、生粋の鎌倉シャツ社員、鎌倉シャツの申し子。

(※1)一緒に長く仕事/佐野と哲兵は国内外の生産開発を一緒にしてきて10数年になる
(※2)『パルパープレミアム』/鎌倉シャツオリジナルのイージーケア素材。イージーケアだけでなく高い速乾性を誇る
(※3)非売品/余談だが、哲兵はパルパーをパターンオーダーシャツでタブカラーを作った。皆さんもぜひパターンオーダーシャツを
(※4)高い速乾性/前日に洗って形を整えて干せば、翌朝使えるのがパルパーのすごさ
(※5)糸から開発/鎌倉シャツは原綿にこだわり、生地にこだわるが糸まで開発したのは今回が初
(※6)世界のどこにもない鎌倉シャツだけのオリジナル。/素材、パターン、縫製、全てオリジナルが鎌倉シャツの物作りの流儀
(※7)イタリアの有力生地メーカー/皆さんご存知、THOMAS MASONやCANCLINIなど
(※8)イタリアにもない/鎌倉シャツはイタリアにもない特殊な生地を開発してしまった
(※9)鎌倉シャツの定番/今でこそ当たり前に展開している定番にこそとてつもないこだわりがある。これについては生地対談VOL.2にてお届けします。
(※10)紡績/繊維を糸に加工する工程
(※11)特許取得/2019年PALPA PREMIUMは特許取得した

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