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カイハラデニム×ハッシュ×鎌倉シャツ 特別対談

シャツを大切に長く楽しんでいただくために

「Re: 鎌倉シャツ」プロジェクトのRe: BlueとRe: Whiteで、お取り組みをしているカイハラデニムの営業課長・内川庸平様(写真:右)と、ハッシュの代表取締役社長・浅川ふみ様(写真:中)、弊社社長・貞末奈名子(写真:左)が、今回のプロジェクトにかける思いを語り合いました。対談形式で、Re: BlueとRe: Whiteの魅力をお伝えいたします。進行は、弊社取締役・佐野貴宏が担当しました。

━この度は、お集まりいただきありがとうございます。まずは、簡単に、会社のご紹介をお願いします。

内川(カイハラデニム):弊社は、1893年に広島県の福山市で、藍染めの絣(かすり)の機屋として創業した会社です。時代の変遷とともに、絣の生産・販売から、1960年代に藍染めの技術を活かして、デニム生地の生産に転換し、今に至ります。当時の相談役が、アメリカではデニムをつくっているらしいぞ、ということで、東京・原宿へ行って、若者がジーンズを履いている姿を見て、デニム生産を始めたそうです。

貞末:創業から約130年ですね。今回、藍染めの老舗であって、デニムの世界的なサプライヤーであるカイハラさんと、「Re:鎌倉シャツ」プロジェクトのRe: Blueでお取り組みでき、とても名誉なことと思っています。

内川:シャツを染め直して、また愛着がもてるシャツに再生する、ということで弊社としても非常に有り難く思っています。ちょうど弊社でも、藍染めの技術を活かして何かできないかと考えていましたので、サステナブルな新しい取り組みとして期待しています。糸から染めるのではなく、インディゴの扱い方や技術を活かして、一枚一枚シャツを製品染めすることになります。着ていくことで色落ちも楽しめるので、愛着が持てるシャツになると思います。

━ハッシュの浅川さんは、白くすることに命を賭けていらっしゃいます。漂白ではなく、酵素で分解します。家業のクリーニング屋さんを引き継がれたのですよね。

浅川(ハッシュ):はい。70年前に曽祖父が、アメリカからドライクリーニングを日本にもってこよう、ということでスタートした会社です。最近は、ご自宅で洗えるものが増えていますが、それでも、いちばん困るのは、シミなんですね。もう落ちないと決めつけてしまうことが多いので、それも落ちますよ、という活動をしています。ご自宅でも使用できる染み抜き剤「スポッとる」を15年かけて開発しました。

貞末:「スポッとる」、すごいですよね。白いシャツの黄ばみが、すっきり落ちました。弊社は、売上げの50%が白いシャツです。捨てられてしまう理由で多いのが、黄ばみやシミなんです。その黄ばみやシミがキレイになるのであれば、より長く私たちのシャツを着ていただけるし、弊社のシャツは、素材も縫製も丈夫にできているので、1年フルに着用いただいても、傷むものではないのです。ただ、それでも捨てられてしまう現実があって。ということで、ハッシュさんとRe: Whiteで、お取り組みさせていただくことになりました。

浅川:皆様のお悩み解決にお役立ていただければ、嬉しいです。シミを理由に、捨てられてしまうのは、本当にもったいないです。

貞末:お客様にRe: Whiteをご提案できたら、すごく喜んでくださるのではないかと。一方、カイハラさんの藍染めでしたら、もっとカジュアルなテイストに生まれ変わらせることもできます。1枚のシャツで2回、お楽しみいただけるんです。綿花など限りある資源をどうやって長く持続可能にするかを考えたときに、売りっぱなしではなく、その先まで、お客様に対してご提案ができるのではないかということで、お二人にお声かけさせていただいた次第です。

内川、浅川:ありがとうございます。

━ところで、内川さん。今までシャツを藍染めにしてくださいという依頼はありましたか。

内川:初めてなんです。シャツは染めていませんでしたが、数年前から木や革は染めていました。インディゴ染めの小物やオブジェ的なものをテスト的に作っていて、サンプルをお渡ししているんです。

貞末:本家本元の繊維では、初めてでしたか! 光栄です。シミや汚れが付いてしまったシャツでも、藍染めすると目立たなくなり、ちょっとした濃淡も味や風合になって。アタリの部分が、逆にいい雰囲気になったり。ストライプとか元々のシャツの柄もうっすら出て、新しいシャツを買ったみたいになりますね。この楽しみ方は、これから一つのジャンルになる可能性があるのではないかと期待しています。新しい価値観につながっていくような、そんな予感がする取り組みだと思っています。

浅川:白く復活するのもいいですが、藍染めのブルーになるのも素敵ですね!

━弊社では、約10年前から、カイハラさんのデニム生地で、デニムシャツを作っていますが、ロングセラー商品です。デニムシャツが売れなくなっちゃうかも(笑)。

内川:大丈夫ですよ。デニムシャツを、また藍染めしてもらうこともできます(笑)。その場合、ボタンも、青っぽくなります。

浅川:それもまた独特な味になって楽しめそう。自分だけのオリジナルなシャツになって。

内川:デニムシャツと言えばウエスタン調ですが、仕事でも綺麗めに着こなすデニムシャツを鎌倉シャツさんが、10年かけて定着させてくれたのは、ありがたいです。Re: Blueも、新たな価値観になっていくのではないかと思います。

━ブルーと白というのがまたいいですね。弊社のコーポレ―トカラーですし。

貞末:大事な人からのプレゼントとか記念のものとか、そういった特別なものってありますよね。弊社に持って来てくださることによって、生き返るとしたら、すべてがハッピーな循環になります。一枚のシャツの寿命がすごく伸びる。SDGsを家庭のなかで話題にしてもらえたり、考えるきっかけにもなっていただけるかなと思います。お客様の喜んでくださる顔が目に浮かぶので、とてもやりがいがあります。

━「Re:鎌倉シャツ」プロジェクトは、メーカー(カイハラデニム)、小売り(鎌倉シャツ)、メンテナンス(ハッシュ)と包括的に取り組めることに意義があると思っています。

浅川:メンテナンスを請け負うクリーニングは、トラブル産業です(苦笑)。ボタン一つなくなっただけでも大変な騒ぎで、アパレルさんに電話して問い合わせたり。海外の色留めしていない洋服を洗ったら全部、色落ちしちゃったり。そのなかで、鎌倉シャツさんの商品もよくお預かりしました。すごく丈夫で、生地が良くて、長く着ているなと思えるシャツが多かったです。アイロンもかけやすかったですし。

貞末:クリーニング屋さんからいいシャツですね、と褒めていただけるのは  ありがたいですね。クリーニング屋さんは、いろいろな商品を取り扱うお立場ですからね。

浅川:クリーニング屋は、モノを売るのではなく、中古品を預かって、加工します。お客様は新品になって戻ってくると思っています。そのギャップを埋めていかないといけません。いちばん残念なのは、シミを落としたいだけで出したのに、シミは落ちないで丸洗いされて生地だけ傷んで、シミ抜き代は取られるような。お客様からは、落ちないんだったら出さなかったのに、の板挟み状態で、クリーニングって難しいんです。

━「スポッとる」の酵素は、その苦悩から、生み出されたものですよね。

浅川:そうです。洗剤が作りたかったわけではなくて、シミを落としたかったんです。でも、強い薬品は使えない。弱い薬品でシミだけ落とすって何だろう、と思ったときに、胃液みたいな状態を洋服の上でやりたかった。食べたものは消化するけど、お腹の骨や肉は融けませんよね。これを洋服でできるかな、と。酵素の力で実現しました。酵素は、化学薬品ではないので。アミノ酸を取り込んでタンパク質を早く分解するものを使っています。

貞末:黄ばみは落ちないと思っていました。特に半袖の白いシャツは、翌年、着ようと思ったら、黄ばみで着られないといったことがあります。それが落ちるとは。黄ばみって何ですか。

浅川:酸化したものです。リンゴを剥いて、放っておくと茶色くなるのと一緒です。洗っても、皮脂など目に見えない汚れは残っています。繊維の隙間は細いのでそこまで浸透させて、分解させて、粉のようにした汚れを外に出します。 皮脂や汗など入り込んだ汚れは、色じゃないので、漂白剤では落ちないんです。油分とかが鎖のようにからみあったものなので、鎖を全部、ばらばらにして浮かせて取って、水で流します。

貞末:なるほど。なんだか理科の実験のようですね。弊社は、綿100%の天然素材が多いので、天候によっても収穫高が変わります。今後、そんなに採れなくなれば、当然、値段も上がります。貴重な素材になるかもしれない。だから、それをどうやって再生させ、長く着用するか、というのはアパレル業界のなかでも一つのテーマになっています。ですので、黄ばんだから諦めて捨ててしまうのを、立ち止まっていただけたらと思っています。

━日本の伝統的な染め方や技術に思いを馳せる機会にもしていただけたら、生活が楽しくなると思います。デニムに近いものを昔の人も着ていたんだ、みたいな。

内川:昔でいったら、例えば、消防士である火消しは、藍染めを着ていました。また、藍染めでも特に濃い色は、「褐色(かちいろ)」と言われていて、「勝ち」に重ねて、縁起がいい色とされていました。サッカーの日本代表のユニフォームが青いのは、そこからきているらしいです。

浅川:今にもつながる、そんな由来があるのですね。

━縁起のいい「褐色」にあやかりたいです(笑)。カイハラさんは、全工程を自社内で一貫生産していますね。すべて内製化されているから、ノウハウが凝縮されていますよね。

内川:もともと、紡績はしていなくて糸を買っていました。でも、最終の生地の安定を保つために今は、紡績も自分たちで行っています。糸づくりからしているので、何か問題が起きら、すぐに履歴を追えます。

浅川:それだけ手をかけて作った布を何回かしか着ないで捨てるなんて、ありえないですね。

貞末:どの工程でも、大変な思いをしてつくっています。綿花なら畑をつくって、摘んでという作業も一苦労ですし。だからこそ、ものを大切に長く楽しんでいただけるように、「Re:鎌倉シャツ」プロジェクトを推進していきましょう!ブルーにしようか、白にしようか、または両方、お楽しみいただければ本望です。一つの商品で、2度美味しい(笑)。

━青が「勝ち」か、白が「勝ち」か! 本日は、ありがとうございました。